ベトナムの新型コロナワクチン関連情報 ベトナムのワクチンパスポートについて(8月7日更新)

ベトナムにおける渡航制限緩和の議論の中で、渡航に際しては新型コロナウイルス陰性証明書(非感染証明書)やワクチンパスポートを取得するだけではなく、新型コロナウィルスに関連する様々な損失やトラブルを補償できる保険への強制加入も求める方向で議論が進んでいる。

ベトナムのワクチンパスポートの現状

  • 8月4日に保健省から新たに、ワクチン接種を完了したベトナムへの入国者の集中隔離期間を7日間に短縮し、これに続く7日間の自宅での健康観察が適用されることが発表された。詳細は以下の通り。
    1. COVID-19ワクチンの規定回分(ワクチンの種類による)を完全に接種した、またはCOVID-19感染症を治癒した人が対象
      • ワクチンの全用量を接種した(最後の用量は、入国時までに少なくとも14日以上および12か月以内に投与された)、かつワクチン接種証明書を持つ。プログラムの下で受け入れられるワクチンは、WHO、米国疾病対策センター(CDC)、欧州医薬品庁(EMA)、またはベトナムのいずれかによって承認されたもの
      • もしくはSARS-CoV-2に感染したことがあり(入国時から6か月以内に単一検体のRT-PCR法によるSAR-COV-2の陽性検査の証明書を持つ)、 COVID-19感染症に対する治癒証明書、か治療国の管轄当局によってCovid-19感染症の治癒が承認された書類がある。
    2. 出発前72時間以内にSARS-CoV-2の陰性検査結果(RT-PCR / RT-LAMP法による)があり、その検査結果が検査を実施する国の管轄当局によって認定されている。
    3. 入国者が以上の条件を満たした場合は、集中隔離期間は7日間となり、それに続く7日間の医療監視の適応となる。
      • 入国後から1日目、7日目にSARS-CoV-2の検査を受ける(初日は迅速抗原検査またはRT-PCR法を使用できるが、7日目は、単一サンプルRT-PCR法によるPCR検査を実施する)。 陽性結果の場合は、規定に従って対応。
      • 継続的な健康観察および監視のために、集中隔離施設から居住地への集中隔離を完了した人々の引き渡しおよび受け入れは、COVID-19国家指導委員会の2021年1月19日付けの公式レターNo. 425 / CV-BCDの規定に準拠するものとする。
    4. この新規定に従って、医療申告や、医療監視などへのIT情報技術の導入が強化される予定である。隔離の監視を強化するため、入国者には健康申告アプリ「VHD」または「ブルーゾーン(Bluezone)」がダウンロードされたSIMカード入りスマートフォン、もしくは電子リストバンドが支給される予定。
      • 具体的にはこれらのアプリを利用し、隔離期間中は決まった時間に顔認識や音声認識を行い、毎日健康申告をするとのこと。
  • 上記の仕組みとは別に、農業農村開発省は二国間貿易を円滑に行うため、中国に商品を輸送するドライバーにワクチンパスポートを与えることと、国境を越えるドライバーに対する迅速診断を行うことを、Covid-19 の予防と管理のための国家運営委員会に提案している。
  • ベトナム共産党の最高指導機関である政治局は6月11日に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を制御しつつ経済成長を実現することを目標に、フーコック島をはじめ、新型コロナウイルスの感染拡大を効率的に制御できる観光地を優先してワクチンパスポートを試験導入するように指示を出した。
    • これを受けたキエンザン省は、フーコック島の全島民へのワクチン接種(22万回分の予定)を9月までに完了することを計画した。
    • 文化スポーツ観光省の提案によると、10月から受け入れ試開始行予定。

日本のワクチンパスポートの現状

日本の厚生労働省によると、海外の渡航先への入国時に、相手国等が防疫措置の緩和等を判断する上で活用されるよう、ワクチン接種の事実を公的に証明する接種証明書が交付されることとなった。本接種証明書の交付申請は、20201年7月26日から各市町村において受付が開始された(詳細はこちらを参照:厚生労働省. 海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書について.)。また現時点で海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書が使用可能な国や地域はここから知ることができる。現在ベトナムは対象国になっていない。

ワクチンパスポートとは?

新型コロナウイルスのワクチンの接種を証明するシステムを指す。PCR検査の結果の証明などを組み合わせて運用するものもある。各国で議論が進んではいるが、細かい部分で名称や運用方法が異なっている。

  1. 行動制限の緩和や、海外との自由な渡航を促すことを目的として、国際的にワクチンパスポートの議論が進んでいる。
    • イスラエルではスポーツジムやプール、ホテルや劇場の利用時にグリーン・パスという接種証明の提示が必要で、アメリカのニューヨークでも劇場やイベントなどを中心にエクセルシオールパスという名前の接種証明の運用がはじまっている。
    • 世界のおよそ290の航空会社が加盟するIATA=国際航空運送協会は、コロナ禍における国際線の利用者の搭乗手続きを円滑にするため、IATA TRAVEL PASSを開発した。IATA TRAVEL PASSはワクチンの接種やPCR検査の結果などの情報を記録し、空港カウンターで確認することができる。これは渡航先の政府が定める要件に沿った健康証明書としての役割を果たす。ベトナムでも、ベトナム航空とベトジェットエア、バンブー航空の3社において試験導入されることになっている。
      • なお、IATAトラベルパスは、すでにシンガポール、パナマ、エストニアの3か国において入国時の使用を認めており、シンガポール航空やカタール航空など60社以上の航空会社が試行を進めている。IATAに登録されている日本の検査施設は品川イーストクリニック、西新橋クリニック、日本医科大学 成田国際空港クリニックがある。これに関する情報はこちら
  2. ワクチンパスポートを導入することに対する懸念
    • そもそもワクチンをうてば必ず免疫が付くというものでもなく、接種後に新型コロナウィルスに感染することはありうるため、感染対策や水際対策の緩和に使うことに対して否定的な意見もある。。
    • またワクチンが導入されてまだ間もないため、その長期的な効果や変異株に対する効果などに関して、未知数な部分が数多くある。
    • 接種済みの者が優遇され、未接種の者が不利益を被ることになりかねない。
      1. 特に日本をはじめとした多くの国において、ワクチン接種を受ける、受けないを決定するのは本人の判断である。
      2. 加えて妊娠やアレルギーなどの健康上の問題で、ワクチンの接種ができない人もいる。
      3. またワクチンの供給が不十分な現状、接種の優先順位が低い若年層が不利益を被る可能性がある。