ベトナムの大気汚染についてまとめました。

2015年に全世界で死亡した者の約6分の1に当たる約900万人が、公害が原因で早死にしたと推定されている。(The Lancetより)

  • 死亡した900万人のうち約92%の死亡が低所得国あるいは中所得国で発生。
    • 急速に工業化が進む国々(インド、パキスタン、中国、バングラデシュ、マダガスカル、ケニア等)
    • これらの国では死亡原因の約4分の1が公害であった。
  • 死亡原因の内訳
    • 80万人:有害物質や発がん性物質への暴露を含めた労働環境
    • 180万人:水質汚染
    • 650万人:大気汚染
  • これらの環境汚染から引き起こされる死亡原因の中で多いのは心臓病や脳卒中、肺がん。

ベトナムにおける大気汚染に関連する死亡は毎年6万件を超えるとWHOから報告があった(2018年)。

  • 大気汚染は虚血性心疾患、脳卒中、肺がん、慢性閉塞性肺疾患、急性下気道感染症(肺炎や気管支炎等)等による死亡を増加させる。

大気汚染の原因物質

  • 二酸化硫黄、二酸化窒素、一酸化炭素、オゾン
  • 粒子状物質(Particular Matter)
    • PM10:大気中に浮遊するPMのうち、粒径が10μm)以下のもの(PM10)
      • 大気汚染の指標として広く使われる。
    • PM2.5:PMのうち直径2.5μm以下のもの
      • PM10よりも微細な汚染物質でありこれが増えると呼吸器疾患・循環器系疾患による受診、入院、死亡が増える。
      • 短期曝露による急性影響(ぜん息や気管支炎)、長期曝露による慢性影響が、それぞれ死亡および呼吸器系疾患、循環器系疾患のリスクとなる。

大気汚染による健康影響の種類

  • 短期曝露(数時間~数日間)による影響
    • PM2.5濃の上昇により当日または数日以内の死亡が増加。
    • 肺などの呼吸器系への影響。
    • 心臓などの心血管系への影響。
    • 屋外での活動制限や仕事や学校の欠席。
  • 長期曝露(数ヶ月間)による影響
    • 心血管系・呼吸器系疾患による病気や死亡。
    • 子宮内発育の制限(低出生体重児、子宮内発育遅延)。

日常生活の注意

  • 大気汚染の状況をアプリやWeb等(例AQI)で確認し、指示に従う。
    • 大気汚染がひどい時には屋外活動の制限が必要。
    • 特に交通ラッシュ時は大気汚染が悪化するので注意が必要。
    • 妊娠中の女性や小児、心臓に病気や全族などの慢性呼吸器疾患等のある方たちは特に注意、

対策

  • 交通量の多い幹線道路を避ける。
  • 帰宅後は、手洗い・うがい。
  • 屋外での長時間の激しい運動を控える。
  • 持病のコントロールをする。
  • 健康診断を受ける(肺機能検査、胸部X線、心電図等)
  • 屋内での喫煙を避ける。

特に大気汚染が強い時には

  • 不要不急の外出や屋外での長時間の激しい運動を控える。
  • 喘息等の呼吸器疾患、心臓病等の循環器疾患を有する人、乳幼児や高齢者等の高リスクの者は特に注意する。
  • 外出する場合は、マスクを着用。
  • 室内には必要に応じて空気清浄機を設置し、 外部からの汚染された空気を遮断する。

マスク

  • N95マスクがあるが、完ぺきではない。
  • マスクの着用
    自分の顔に合った形状、サイズのマスクをあら かじめ探しておく。 子供は子供用のサイズを着用する。 鼻の両脇やあご、頬のラインに隙間のできない 様にする。 着用後、空気が漏れる部分がないか確認する。 着ける場所、状況を選ぶ(通勤・通学、買い物)。 マスク着用は保湿効果も期待でき、のどを守る。 使い捨てのものを何度も使用しない。

空気清浄機

  • 部屋の大きさに合わせて選択する。
  • PM2.5対応空気清浄機も発売されている。
  • 説明書に従い、フィルターの清掃、交換等をこまめに行う(清掃時にはマスクを着用)
  • 家の中でタバコを吸わない(PM2.5が上昇)
  • 窓を開けない(一気に上昇する)。

病院受診を検討

  • 長頻繁な呼吸困難等がみられる場合は、医師の診察を受ける必要があります。特に息切れを感じたり、胸の圧迫感がある場合は緊急を要する引く咳、喘鳴、繰り返す呼吸器の症状、。