ベトナムのCOVID-19のノート 2020.09.24 感染者1074例

9/28 7am時点でのベトナムの感染者 

  1. ベトナム全体1074例(回復999、死亡35、7/25以降642例増加)
  2. 第二波による国内発生例(7月25日以降):9月3日より25日間連続で国内発生無し。現在551例(ダナン389、クアンナム省96、ハイズオン州16、ハノイ11、ホーチミン市8、クアントリ州7、バクザン省6、クアンガイ省5、ランソン省4、ダクラ省3、ドンナイ省2、タイビン省1、ハナム省1、タインホア省1、カンホア省1。)
    • 今回の流行の中で、ベトナムにっては6番目の新しいCovid-19株(感染力は強いが、他国ではすでに確認されているD614G、病原性は他の株と同様)が出現していることが分かった。
    • 今回は第一波の時と異なり、死亡者が発生している。
      1. ブログ主が推察する理由として
        • 第一波は健康な外国帰りのベトナム人、もしくは海外からの渡航者が中心だったこともあり、死者が出なかった。
        • 今回は高齢者や合併症がある人が多く感染しており、予後や致死率がかなり変わるのではないか。
      2. 第二波(7/25)以降のベトナムでの致死率を9/5時点のデータから計算するとおよそ6.1%。これは病院を中心にヒットした場合の数字としての参考値。コロナの流行が始まって以降で考えれば致死率3.3%(日本は1.9%、世界全体では3.3%)。
        参照:Case fatality rate of the ongoing COVID-19 pandemic
    • 8月30日以降9月4日までの間に、国内発生したケースはハイズオンの1例(感染源不明)のみ。感染源不明である以上は気が抜けない。
    • コロナウィルス第二波への対策 CORONAVIRUSVietnam tries new local lockdowns to stop COVID but not economy
      1. Phuc首相の発言を第一波の時と、第二波のときで比べてみると、
        第一波:生命を守るためならば経済を犠牲にすることを辞さない( “willing to sacrifice some economic benefits to protect people’s lives,” )
        第二波:経済も感染制御も両立させる( “with the resolve to achieve the dual goals of controlling the epidemic while maintaining economic growth.”)
        と論調が変わってきています。
      2. 第一波の際に得られた知見を活かして、第二波では小さなゾーンごとにに隔離、もしくはロックダウンを行っています。今回のメッセージの中に「各市民は兵士である。各家、集落、住宅地はパンデミックとの闘いのための要塞である(”Each citizen is a soldier. Each house, hamlet, the residential area, is a fortress in the fight against the pandemic,”)」とありました。
      3. 政治アナリストのDang Tam Chanh氏によると、第一波の際に経済やビジネスの損害を最小限に抑えるための、より小さなゾーンに限定した隔離またはロックダウンをする方法を学んだ( “However, thanks to that experience, Hanoi has learnt a lesson to control and isolate the outbreak in smaller locations efficiently in order to minimize the damages to the economy and business. Small zone isolation or lockdown will be the best choice for Vietnam for now.”)とのことです。
    • 第二波についてよくまとまっている記事
      1. Viet Nam News. Central city takes control in one month COVID-19 fight.
      2. VNEXPRESS. Covid-19 lurked in Da Nang weeks before discovery: chairman.
        多人数に対する検査方法など、様々な工夫も紹介されている。

対策・ホットスポットなどの情報

ベトナム国内における新型コロナウイルス関連発表
領事館からの情報参照


日本からの入国に関連する情報

在ベトナム日本国大使館. ベトナムへの入国を希望する皆さまへ. 参照(細かく改定されています)。

現在観光客を受け入れない。

②日本の外務省. 国際的な人の往来再開に向けた段階的措置について.⇐さらっと更新されて、ベトナムのことについても具体的に書いてありました

New!
③9月15日の国際線運航再開、詳細明らかに 日本線は週4往復
④ベトナム、短期滞在の専門家ら(外国人専門家、投資家、マネージャー、外交官ら)に対する隔離措置を廃止へ

⑤在ベトナム日本国大使館. ベトナムへの入国を希望する皆さまへ.より抜粋した情報
(ウ) なお、9月20日付保健省文書No:4995/BYT-DP「ベトナムへの入国者を監視する一時的なガイダンスについて」(原文仮訳)により、入国後、空港又は隔離施設(ホテル)にて1回目のPCR検査等、入国後6日目に2回目のPCR検査等を受け、各々陰性である場合には、専用車両(当館注:特別に手配したバス等が想定されます。)を利用し、次の滞在先(入国者の居住地、公務住宅、勤務先)に移動し、入国後14日目まで過ごすことができる制度が規定されています。ハノイ市及びホーチミン市においては、この制度が実施されているようです。ただし、制度が始まったばかりであり、詳細は不明です。具体の手続きについては、当局(隔離施設の所在地を所管する省・市の保健局)にお問い合わせください。

以上のような情報が出たので、日本との行き来がまたできるようになるか?と期待したのですが、よくよく調べてみると、『相当の覚悟と準備をもって来ないと、なかなか難しそう』という気がします。今までに出てきた情報から、日本人のベトナム入国の際に問題になりそうな点を考えてみました。 

🔴新規のビザ発行には制限がかかっていいるため、日本国籍のパスポートを持っていても、ビザ免除優遇措置はされない。⇒つまりベトナムのビザを持っていない人は、ビザ取得の手続きが必要で、これがまた煩雑。プロの介入が必要。
参照:BLACK SHADOW CO.,LTD. 入国関連で動きがありましたというお話.
🔴隔離措置を免除するためには、国際的な保険に加入するか、専門家らを招聘した会社が保証人になる必要があり、招聘された者がベトナムで新型コロナウイルスに感染した場合、全ての医療費やその他の費用を負担しなければならないという。
 
以下どのような医療費がかかり、どのような保険が必要かについて。
政府は全ての専門家に対して、国際的な医療保険を持っていることを要求しています。
・ベトナムで外国人がコロナウィルの治療を受けた場合、ベトナムの政府からの補助はないので(ベトナム人はある)、旅行者保険は必須。
・The National Hospital for Tropical Diseases No 2 での外国人コロナウィル患者の治療費は、平均850〜1900ドル。重症例の場合には20000ドル以上かかったケースもある。最重症のイギリス人パイロット、患者91は最低でも151,000ドル以上。
・タイでも1000万以上補償する保険に入ってから入国するように政府が指導している。
・最近日系企業でも、経済的ダメージ回避のためか、医療保険を不十分で安いものに切り替える動きが見えます。社員をわざわざ海外に送り出す以上は、しっかりと健康のことも考えてあげてほしいものです。
🔴専門家らは少なくとも勤務を開始する1日前に入国する必要があり、入国時には感染者追跡アプリである「Bluezone」から健康状態を申告する必要がある。
🔴滞在中に発熱、咳、喉の痛み、息切れなどの新型コロナウイルスが疑われる症状が出た場合は招待した会社または医療当局などに報告しなければならないという。
🔴専門家や公務目的でベトナムに入国する者と接触する人に関しては、隔離対象とはならないものの、最後に接触をした日から14日間は自身で健康観察を行う必要があるという。⇒不要不急のあいさつ回り、夜の接待、外食とかは極力控える流れ?
🔴レジデントトラックとビジネストラックの説明には、「対象者は、本邦帰国前14日間の検温を実施してください。発熱(37.5度以上)や呼吸器症状、倦怠感等を含む新型コロナウイルス感染症の症状が認められる場合は帰国を中止してください。健康モニタリングの結果の事前提出は不要です。帰国の際に機内で配布される「質問票」に健康状況として反映してください。」と書いてあり衝撃的です。


日本への再入国について

在ホーチミン日本国総領事館. 再入国許可(みなし含む)保持者に対する入国許可について(国際的な人の往来再開に向けた段階的措置).


日越間の往来に伴う感染者やその他の問題の発生

今後の対策・スタディ

  1. 国内の感染を根絶
    1. ランダムテスト
    2. 治療方針に関して:COVID-19から回復後の患者であっても、退院後30日間は監察下に置かれれます。これまでは退院適格になった後に14日間の自宅隔離でしたが、新しい方針では退院適格になった後にさらに14日間地域の医療機関もしくは、患者自身で用意した隔離場所で過ごします。その後さらに退院後30日までは外出制限やSocial Distancingなどの医療監視が行われる方針となりました。
    3. 感染者追跡アプリBluezonの導入:アプリユーザーのウイルス感染が分かった場合に、濃厚接触した可能性のあるアプリユーザーに警告通知を送る機能を有する。
  2. PCR検査:ベトナム製であるがWHOの認可あり
  3. BCGのスタディ
    新規発生が出てこないため、症例が集まらず中止。
  4. ベトナム国内生産の人工呼吸器( 気管切開下陽圧換気(TPPV)向け )の人工呼吸器の出荷が始まる(気切でいくのか?)
  5. ワクチン
  6. ベトナム国立衛生疫学研究所と日本の長崎大学の15人の研究者が、SARS-CoV-2の迅速診断キット(ELIZA法、精度約95%)を開発し、大量生産の認可を得た。
  7. ベトナムで開発されている新型コロナウイルス抗原迅速検査キット(クイックテスト)
    

世界からの評価

Forbesの記事(20200520):新型コロナ対策をめぐり,ベトナム国民は政府と報道機関を最も高く信頼
世界銀行の記事(20200430):Containing the coronavirus (COVID-19): Lessons from Vietnam.
World Economic Forumの記事(20200330):Viet Nam shows how you can contain COVID-19 with limited resources.
BROOKINGSの記事(20200520):Reopening Vietnam: How the country’s improving governance helped it weather the COVID-19 pandemic.

POLITICO. Ranking the global impact of the coronavirus pandemic, country by country.: 【新型コロナ対策効果ランキング、死者ゼロのベトナムが世界一】

  • 米国の政治専門誌ポリティコ発表
  • 調査対象の30か国・地域中でナンバーワンの評価を受けた(全世界調査ではない)。
  • 感染者数や死亡者数、失業率、国内総生産(GDP)などの指標に基づき、コミュニティの健康保護と経済振興の面における新型コロナ対策の効果を評価

WHO applauds VN’s quick response to community transmission:2020年7月25日にダナンで市中感染が見つかった際に、ベトナム政府の取った対応が非常に迅速であると評価した。

Poste. ベトナムのコロナ第2波への対応、海外専門家らが高評価

その他

これまでに公開したベトナムのコロナウィルスに関するインタビュー、セミナー資料、動画などをこちらにまとめました。